にほんご

中文

ภาษาไทย

音楽への真摯な想い、Stella Jangの新たな挑戦

1,394
2025.04.28
Kitto運営
Kitto運営Kitto運営局

✦ こんにちは。簡単な自己紹介をお願いします。

こんにちは、シンガーソングライターとして活動しているステラ・チャンです。

 

✦ 5年ぶりにフルアルバムのリリースを控えているとのことですが、最近の近況やアルバムについて教えてください。

最近の私は…本当に、本っ当に忙しかったんです。まるで残業続きの会社員生活を体験しているような気分でした。週末も休めず、スケジュールが入ると一日中そのことで時間を使って、朝から出かけて徹夜になることも珍しくありませんでした。久しぶりのフルアルバムということもあり、制作にはとても力を入れましたし、何よりも、自分で立ち上げた会社から初めてリリースする作品なので、思い入れもひとしおです。

 

✦ フルアルバム『STELLA I』と、今回リリースされる『STELLA II』の最も大きな違いは何ですか?それとも『STELLA I』の延長線上にある作品でしょうか?

正直なところ、明確に繋がっている部分はあまりないんです。だから最初は、まったく別のタイトルで出すことも考えました。でも、1作目を『STELLA I』と名付けた以上、いきなり2作目のタイトル曲を“POWER”みたいな感じにするのも変かなと思って(笑)。
だから、いちばん自然な流れとして『STELLA II』という形に落ち着きました。

制作のプロセスは『STELLA I』と似ています。決められた期間にアルバムを作るというよりは、これまで蓄積してきた曲の中から、今の自分をよく表せる楽曲を選んで、いくつかを加えて仕上げた形です。違いがあるとすれば、私が少し「世の中の苦み」を知ってしまった、という点でしょうか。1作目には世界に対するロマンがあったとすれば、今回はより現実的な視点が加わっています。

 


「目標」って、自分の努力だけでは必ずしも叶うものではないですし、そこに囚われすぎると、どんどん不幸になってしまう気がして。だから、実は『STELLA I』よりも直前にリリースしたシングル「I CAN DO THIS EVERYDAY」の方が、このアルバムと地続きのプロジェクトだと感じています。今回のアルバムでは、「私はまだ歌が好きで、そういう感情に満たされている人間なんだ」ということを、もっと率直に表現したかったんです。現実的になった自分の心の中に、実はずっと残っていた“本当の気持ち”を認めて、再びロマンを信じようとする旅が、この作品には込められています。

 

✦ 『STELLA II』は「今日を生きる自分」を描いたアルバムだとおっしゃっていましたが、Stella Jangさんが人生で最も大切にしている価値観は何ですか?

健康と睡眠ですね!
睡眠も健康に直結しているので、結局は「健康」ということになります。そしてその健康には、身体だけじゃなく心の健康も含まれます。若い時はみんな元気だからあまり意識しませんが、アーティストって、一般的に見ても健康的な生活をしていないことが多いと思います。もちろん全員がそうとは言いませんが、確率的には…ね?(笑)私も運動は嫌いだし、夜遅くまで作業して、朝は遅く起きるし、食事も不規則で。唯一の救いは、お酒を飲まないことぐらいです。ミュージシャンとしての自分も大切だけど、その前にまず自分の身体を大事にしなきゃって思っています。

 

本当に、健康は何よりも大切ですよね。体が元気でないと、何も始まりませんから。アーティストって、作業に集中するあまり、つい自分の体を後回しにしがちですよね。夜更かしや徹夜も多くて、睡眠時間も不規則だったりしますし…どうかご自愛ください!

まさに最近、体調の変化を感じています。体がしんどいと、前向きな気持ちにもなれなくて、やっぱり「健康であってこそ」なんだなと実感しています。なので、今の私にとって一番大切なのは、健康なんです。

 

✦ Stella Jangさんの音楽には、日常を非日常に見せるような独特な力があります。同じ毎日を違って感じるために、どんな工夫をしていますか?

「日常を非日常に見せること」について、特に意識してやっているわけではないんです。そして、それが私の音楽だけの特性だとも思っていません。むしろ、それは「“音楽”というメディア自体が持つ力なんじゃないかな」と感じています。
音楽が流れているだけで、日常の風景がまるでMVのように見える瞬間って、誰にでもあると思うんです。もしかしたら、私の曲でも、そういう感覚を味わってもらえているのかもしれませんね。

 

同じ日常でも、地下鉄を歩いている時に音楽を聴くと、まるで映画の中にいるような、不思議と景色が違って見えることってありますよね(笑)。
今回のフルアルバム『STELLA II』では、前作『STELLA I』とはビジュアルのイメージが大きく変わりました。黒いワンピースに黒髪、黒いシューズにはどんな意味が込められているのでしょうか?

実は、これまで自分から「カラフルなイメージを目指したい」と思ったことは一度もなかったんです。たいてい誰かの提案や、そのコンセプトに合うという意見でヘアカラーを変えることが多くて。
だから今回のアルバムでは、あえて真面目な「そのままの自分」を見せたいと思いました。
中には少し重たく感じる楽曲もあるかもしれませんが、最近の私は健康と同じくらい、“真面目さ”や“真心”を大切にしている気がします。



✦ たしかに、今回のセカンドアルバムは、とても誠実な心が感じられる作品でした。Stella Jangのリアルな悩みや、「彼女は今どんなことを考えているんだろう?」と興味が湧いてくるような、そんな真摯な作品ですよね。これまで積み重ねてきた思考や葛藤、それを乗り越えようとしているプロセスが詰まっていて、きっと何かしらの変化があったのではないかと感じました。

今日はKittoのインタビューで、新曲の「Walkman」と「Colors」を披露してくれると聞きました。まずは、それぞれの曲について紹介してもらえますか?

『Colors』は東南アジアで人気があると聞きました。Kittoはアジア向けのマガジンなので、この曲はぴったりだと思って選びました。そして『Walkman』は今回のアルバムのタイトル曲です。ただし、“Walkman”はブランド名でもあるので、まだ放送審査の結果を待っているんです(笑)。

 

『Walkman』にはアナログ的なものを懐かしむ気持ちが込められていますが、これはご自身の体験に基づいていますか?

私は70〜80年代を生きていないけれど、映画『ミッドナイト・イン・パリ』のように、その時代に対する憧れのような感情があります。実際に経験したわけではないのに、なぜかその時代が恋しいんです。不思議ですよね。

音楽制作でも、デジタルとアナログをうまく混ぜるようにしています。アナログでやった方が断然良く聞こえるものもあるんですよ。だから、それに合わせて曲作りをしています。

私は、音楽が“特別なもの”として大切にされていた時代を恋しがっているのかもしれません。レコードやテープ、CD。自分が好きなアルバムを“手に入れる”という行為そのものが、今では貴重に感じます。今はストリーミングが主流になって、もちろん便利だけど、その反動でアナログの温かみがより際立っていくような気がします。

“真心”というキーワードには、そうした想いも含まれています。例えば、ボーカルに後処理をしないで録音することも、そのままの声を届けたいという“真心”のひとつだと思うんです。

編集で音をつないだり音程を調整したりすると、「あ、私って楽に音楽やってるなぁ」ってふと感じることがあって。それが嫌で、できるだけ手を加えないようにしています。誰かに評価されるわけじゃないけど、“そのままの自分”を届けたいという気持ちは常にあります。

流行や最新トレンドにはあまり興味がないし、正直よく分からないんです。

 

✦ ということは、ReelsやShortsなどもあまり見ないタイプですか?

スマホはよく触ってるんですが、実はすごくシンプルなゲームしかやらないんです(笑)。SNSも、好きなアカウントだけを細々とチェックする程度で。

流行に敏感じゃないところが、ある意味「仕事を怠けてる」ようにも感じてしまうんですよね。これは仕事の一部なのに、どこか避けている自分がいるから。

でも、だからといって“部屋にこもったアーティスト”というわけでもないんです。芸術的な苦悩に一日中悩まされているタイプでもなくて、自分が「芸術をしている」っていうアピールをしたくなるほど、苦労しているわけでもない。

だからこそ、トレンドとアートの間で、この“中途半端さ”をどう乗り越えていくかが、最近の大きな悩みです。 

 

ご自身で“中途半端”と言われていましたが、今回のアルバムからは、Stella Jangが本当に音楽を愛し、自分の音楽に誠実に向き合っている姿勢が強く感じられました。本業という枠を超えて、まるで信念のように思えました。

そんなStella Jangさんにとって、“音楽”とはどんな存在なのでしょうか?ご自身の音楽を紹介するなら、どう表現しますか?

音楽のすべてのプロセスを愛しているわけではないと思います。正直、嫌いな部分もあるし、やりたくないこともあります。

でも、今回のアルバムに収録されている『I Love To Sing』は、そんな私の“好き”だけを詰め込んだ楽曲です。

私は歌うことが好きで、歌詞を書くのが好きで、メロディに模様を描くように編み込んでいくのが好き。そういう“好き”の気持ちを通して、愛されて、私の歌を知ってくれる人が増えるのが本当に嬉しいんです。

家でも毎日のように歌っていますし、歌手なのにコインカラオケに行くのも好きです。他人の曲を歌うのも、自分の曲を歌うのも、どちらも楽しい。

私はただ、歌うことが好きな人間なんだなと感じます。

そんな気持ちが詰まったこのアルバムは、音楽に対する私の“真剣な真心”そのものなんです。

 

「I Love To Sing」を聴くと、Stella Jangの真心が何かがよくわかるような気がします。この曲はとても良いだけでなく、Stella Jangがどれだけ歌いたいと思っているか、どれだけ音楽を愛しているかが伝わってきました。Stella Jangのファンなら、この曲は絶対に好きになると思います。

なんというか…その曲は、少し「私は音楽を愛していないように見えるけど、実は私は本当に音楽を愛している」といった感じですね。(笑)

 

最近、ペパートンズの20周年記念アルバムで「青春」を歌い、イ・ジナやジョン・パクなどさまざまなアーティストとフィーチャリングをしました。フィーチャリングは自分の曲を歌うこととどう違いますか?

ペパートンズの曲を歌うのはとても楽しかったです。私がとても好きな曲でもあったので、新たにアレンジして歌ったのですが、その曲も私の曲と同じくらい好きです。だからライブでもよく歌いました。『青春』のように、私が全て歌ったわけではなく、他に私がフィーチャリングした曲もあるのですが、その曲は少し歌うのが大変でした。自分の音域を考慮せずに作られた曲だったので、歌いながら苦労しました。

 

イ・ジナさんのアルバムの場合、最初は歌詞を一緒に書いてほしいと言われて、歌詞を書いていたら最終的には一緒に歌うことになり、ジョン・パク兄の場合はナレーションを頼まれて、コンセプトを聞いてすぐに自宅で録音して送ったことで実現しました。

ジョン・パク兄さんの声は私の曲のあちこちに隠れています。ジョン・パク兄さんにはコーラスをお願いすることが多かったのですが、毎回とても快く、断られることなく応じてくれました。だから、その恩をどう返すべきか悩んでいたのですが、今回は幸運にもその機会が得られました。 

 

 

✦ アルバムにはフランス語、英語、韓国語が混ざっていますが、曲ごとに言語を選ぶ基準はありますか?

特に基準はないです。通常は最初のデモで使った言語がそのまま最後まで行くことが多いです。時々、意味のないハミングや英語でデモを作っておいて、後で韓国語の歌詞に書き直したりすることもありますが、ほとんどの場合、99%は最初に作った歌詞を少し修正して、そのまま同じ言語で出ます。

今回のアルバムの場合、最初は歌詞が英語と韓国語だけでした。全体で9曲でしたが、2桁の正規アルバムを作りたいと思って、作っておいた曲を探して追加したのが5番目のトラック、フランス語の「Un Beau Jour De Pluie」です。この曲は昔、メロディーだけ作っていた曲で、歌詞がなかったんです。それで今回は歌詞を書きながらフランス語を選んだんです。最初は英語で歌詞を書こうと思ったのですが、英語だと何だか正解のように感じてしまって、少し違った印象を曲に与えたくてフランス語で歌詞を書きました。

✦ 最初からフランス語を意図して書いたように感じました。とても自然だったので。

でも、録音のときはちょっと大変でした。言語ごとに発音や発声が異なるので、やはり英語が歌うのに適した言語だと感じました。英語だととてもスムーズに流れるのですが、フランス語だと音程が外れたり、コントロールできない部分が多かったんです。最初は英語に歌詞を戻そうかと思ったんですが、そのままフランス語を使うことにしました。皆さんが気に入ってくれたら嬉しいです。

 

5月にコンサートを行うという告知がありましたが、今回のコンサートのテーマと簡単な紹介をお願いできますか?

前回アルバムをリリースしたときは、ちょうどコロナの時期でコンサートができなかったんです。だから、アルバム発売を記念するコンサートはこれが初めてになります。以前、ウィンター・ステラという公演をしたことがありますが、その時はEPだったし、シーズン性もあったので、今回の正規アルバム発表の公演は新しい感覚で、悩みも多いです。セットリストを作るのも悩んでいるんですが、できるだけ新曲を多く入れる方向で調整中です。

 

✦ 2025年に必ずやりたいこと、特別な計画はありますか?

スキューバダイビングをたくさんしたいです。昨年10月にスキューバダイビングの資格を取得し、11月にはフィリピンへツアーに行きました。まだ経験は多くないですが、これは間違いなく人生の趣味だと言えると思います。ずっと続けられそうだと感じる趣味が、スキューバダイビングなんです。11月、12月になると寒くて海に入れなくなりますが、ワクワクして機材をすべて揃えました。普段は他のことにお金をあまり使わないのですが、今回は大きな投資をしました。でも、今まで寒くてまだ一度も着て水に入っていないんです。なので、2025年にはスキューバダイビングにもっと頻繁に行けたらいいなと思っています。

 

インタビューの最後の質問です。最後にKittoの読者に伝えたいメッセージがあればお願いします!

久しぶりに正規アルバムで挨拶をさせていただきます。
Kitto読者の皆さん、英語の曲も多いので、楽しく気軽に聴いていただけたら嬉しいです。
ありがとうございます。

 

+1

いいね

0

+1

なるほど

0

+1

楽しみ

0

+1

役立った

0

Share