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週末にしか開かないカフェ? Töl coffee(トェル・コーヒー)

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2024.05.31
Kapecchang
Kapecchang韓国バリスタ資格をもつ日本人

ホンデとデジタルメディアシティ(DMC)の間にあるエリア、西大門区・カジャ洞。 カジャの中でも延喜洞寄りの南カジャ洞にあるカウンター9席だけのTöl coffee(トェル・コーヒー)は、オーナーのジャン・ミンソク氏と看板犬ミリーちゃんが迎えてくれる自家焙煎カフェです。

  

以前までは週末のみの週2日営業(!)で、行くタイミングを逃しがちでしたが、今年からは営業日が週4日に増えて行きやすくなりました。 
なぜ週末だけのカフェだったのか、これからの野望、そしてミンソク氏がコーヒーと向き合う真剣な眼差しと愛犬ミリーに注がれる優しい笑顔のギャップにも注目です♡

 


 

Q. トェルコーヒーを作ったコーヒー

僕は幼い頃から水泳をしていて、スポーツに特化した学校に通っていました。

社会人になってからはエンジニアとして会社に勤めながら、カフェラテが好きでよく飲んでいましたが、ある夏の蒸し暑い日、行きつけのカフェでおすすめしてもらって飲んだアイスコーヒーがすごく美味しくて・・・それがフィルター(ハンドドリップ)コーヒーとの出逢いの瞬間でした。

僕はアメリカーノ特有の舌触りの悪さが苦手でアイスアメリカーノも飲みませんが
その時に飲んだアイスのフィルターコーヒーのすっきりとした味に驚き、さらにフィルターコーヒーにはアメリカーノとは違う美味しさや魅力があることを知り、フィルターコーヒーの専門店を作るまでに至りました。

2022年2月にカフェをオープンしてからも、平日には一般の会社員として会社に通っていたので会社が休みの週末2日だけしかカフェを開くことができず、店の名前を韓国語の土曜日(トヨイル)と日曜日(イリョイル)を短く発音した『トェル(퇼/Töl)』にしました。

会社員にとって、週末は一瞬で終わってしまう短い時間じゃないですか。その感覚を表現したくてハングルでは1文字、英語表記ではドイツ語のウムラウトを使って3文字で短く表現したんです。

2年間は週7日休み無しで働いていましたが、エンジニアとしての仕事もコーヒーも楽しく毎日が充実していました。今年に入ってからは会社側のご厚意で1年間の休みを頂き、カフェの営業日を金曜から月曜までの週4日に増やしましたが、今後も名前はトェルのままでいこうと思っています:)

 


 

Q. なぜカジャ洞でお店をすることにしたのですか

地元だからです:)

僕が生まれた病院も、小学校や中学校、今住んでいる家も全てこの周りにあります。でもなぜかカフェは全然ないんです。

両隣の街にはフィルター(ドリップ)コーヒーを楽しめるカフェやエスプレッソバーなど多様な選択肢があるのに、このカジャ洞にだけはありませんでした。

当時は「ここでフィルターコーヒー専門のカフェをしてもうまくいく訳がない」と言われましたが、2021年10月、愛犬のミリーとお散歩にでかけた時に今のお店の場所にテナント募集の広告が張り出されているのを見つけて・・・

最寄りの地下鉄カジャ駅からも少し距離があるし、決してアクセスが良い位置とは言えませんが、何かに導かれるようにすぐ不動産の契約をして店を作り始めました。

僕にとっては馴染み深い地元ですが、わざわざ遠くから来て下さるお客様も多く、いつも本当にありがたく思いながらコーヒーを淹れています。カウンターだけの小さな店ですが、時間を気にせずにゆっくり休んで行っていただきたいです。

 


 

Q. 1年の休職期間の後はどうされますか

やめると思います。あ、カフェじゃなくて会社ですよ!(きっぱり)

今後はカフェ1本でも生活がしていけるように、今の1年間の休職中が頑張り時だと思っています。

実は今年の冬、日本旅行中に行った際に日本のバリスタさん達にお声がけ頂き、飛び入りでカッピングにも参加させてもらいました。

それが自分にとってすごく良い経験として記憶に残り、韓国に戻って来てからすぐ会社に辞表を出し、コーヒーの大会(KCRC)に挑戦したり、日本語の勉強を始めました。

日本語は独学で少しずつ勉強しているのでまだまだですが、いつか翻訳機を使わずに自分の言葉でコーヒーのお話ができるようになりたいです。

 


 

Q. デザートも全て手作りだとか

はい:)子供の頃から料理に興味があり、家族の中でも率先してスーパーに買い出しに行ったり、母が料理するのを横で手伝ったりするのが好きでした。今も休みの日には自炊をしたり、友人が家に遊びに来たら手料理をふるまったりもします。

お店のカイマックやデザートも全て僕が作っていて、例えばチーズケーキを作る事にしたら、美味しそうなチーズケーキのレシピを10種類くらい並べてそれぞれ比較し、その違いと実際に作ってみた味の違いを調整して1つのレシピを作りあげます。

・・・僕のMBTIですか?分析が得意な巨匠タイプのISTPです。まさに、ですよね(笑)当たっていると思います。

 


 

Q. 今後のご予定は?

韓国は物価上昇が続いていて、外食が負担に感じることも少なくありません。特に洋食は高価な傾向があるので、いつかブランチと美味しいコーヒーを手軽な価格で楽しんでいただけるような店を作りたいなとも考えています。

また、コーヒーの生産地や価格に対する先入観なく気軽に様々なコーヒーを味わってみて頂きたいという想いから、全てのコーヒーを一律の価格でお出ししています。

比較的お手頃な金額でコーヒーを提供できているのも、ソウルの中心部から少し離れているカジャ洞だからこそできる事でもあり、ここまで来て下さるお客様には負担なく新しいコーヒーとの出逢いを楽しんでもらえたらと思っています。

アイスアメリカーノ大好き民族の韓国でアメリカーノがないカフェをしていると言うと心配されるのですが(笑)

個性豊かなコーヒー産地の特徴が感じられるフィルター(ハンドドリップ)コーヒーで、それぞれの産地の魅力をひき出して伝えられる焙煎士でいたいです。

韓国国内ではコーヒー豆の納品や、他のカフェとのコラボイベント等も行っているのですがいつか日本でもコーヒーに関するポップアップイベントをしてみたいので・・・日本語の勉強、頑張ります!

 


 

Q. 日本からの方々におすすめのコーヒーはありますか?

トェルコーヒーのメニューはシンプルで、フィルター(ハンドドリップ)コーヒーとミルクコーヒー、(エイドやお茶などの)コーヒーではないドリンクが2種類とデザート3種類で構成されています。

コーヒー豆やデザートは時期によって変わり(詳細は毎回Instagramにアップされ)ますが、好みの味をお伝えいただければメニューにないコーヒーをお出しすることもできますし、味の調整も可能です。

また僕が旅行中にカフェに行く時にはその店で一番よく売れている定番のメニューを飲んでみて、それが好まれている理由を考えるのが好きなのですが、それも旅行の醍醐味だと思います。

高価なコーヒーは美味しくて当然ですが、必ずしも特別なコーヒーでなくても、その店の人気メニューや定番メニューを経験する事で、その地域の方々の嗜好やその味を好む理由など、そこに住んでいる人々の生活を垣間見る事ができるような気がするからです。

そういった意味でも、トェルコーヒーでは毎日飲んでも飽きずに負担にならない、いい意味で平均的で安定した美味しいコーヒーを提供できるよう、生豆の選択の段階から心がけるようにしています。個人的には、ホンジュラスやエルサルバドル、ケニアやルワンダ等のコーヒーが好きでラインナップに入れる事が多いですね:)

 


 

最後に

コーヒーを焙煎して淹れてみたら美味しかった時、そのコーヒーをお客さんが美味しいと言ってくれた時、そういったささやかな瞬間が本当に幸せだと話すジャン・ミンソク氏。

彼の休職期間が終わる2025年2月。会社に復帰するのか、はたまた完全なコーヒー人としての人生を歩むのか、彼の選択と日本語の成長が楽しみです。

週末にかけて韓国旅行に来られる方、ミンソク氏とコーヒーについて語り合いたい方は、南カジャ洞の自家焙煎カフェ、トェルコーヒーに遊びに行ってみてください:)

 

퇼 커피(Töl coffee) 
📍ソウル西大門区カジェウルロ10ギル25 
🕰️金曜日〜月曜日(火〜木定休)
    平日 9:00−19:00 
    週末 11:00−21:00

 看板犬ミリーちゃんは体調によってお休みの日もあります🐕

 

※こちらの記事は2024年4月に作成されました。
営業日や営業時間が変更になる可能性がありますので、行かれる前には必ずお店のSNS等で最新情報をご確認ください。

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