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「既存のものを壊して新しい価値をつくる」 SURGERYの日本初展示会へ

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2024.02.29
Kittoスタイル
Kittoスタイル韓国在住スタッフ

 今、韓国のストリートブランド好きに注目されているユニセックスブランド、「SURGERY(サージェリー)」。「解体主義」をコンセプトにしていて、ユニークなステッチやデザインがおしゃれでアイコニックなブランドです。そんな「SURGERY」の日本初の展示会が2月14日から16日まで東京・原宿で行われました。

SURGERY

 Kittoもお邪魔し、新しいコレクションをはじめとしたおしゃれなアイテムたちをチェックしてきました。ブランドの代表兼デザイナーでもあるキム・ソジュンさんとのインタビューも、ぜひ一緒にチェックしてみてください!

 


 

気になるSURGERYのアイテムは?

 

#back force 

新しいコレクションの「LAZY MILITARY」がコンセプトのアイテム。表裏がリバーシブルになっているアイテムで、人間の矛盾した姿を表したとのこと。太陽や月の光が水面に反射しキラキラ輝いている波をシワ加工で表現したデニムとなります。

 

#ダウン
surgery bone embossing ma-1 'khaki'


骨が浮き出ているユニークなダウン!人種差別を風刺してデザインしたアイテム。

 

#デニム
surgery yoonseul long length double jeans 'blue'

太陽や月の光が水面に反射しキラキラ輝いている波をシワ加工で表現したデニムとなります。ストリートコーデに取り入れたい、なんと全長2mもあるデニム!

  

#バッグ
KURO bag S size 'white'

ロゴが入った形がかわいいバッグ。韓国の女子に大人気なアイテムだそう。

 

#帽子
[PRE-ORDER] surgery clover logo beanie ver.2 'black'

韓国のストリート通に人気のロゴニット帽!男女ともに人気だそう。

 


 

展示会の様子

 

韓国ブランド、KIRSHやthisisneverthatなどが入店した建物で行われた今回の展示会。ユニセックスブランドなので、男女ともに楽しめるアイテムが多数揃っていました。

SURGERY

 


 

SURGERYの代表でデザイナーのキム・ソジュンさんとのインタビュー

 

✦ 日本での初めての展示会おめでとうございます!Kittoのみなさんへ自己紹介からお願いします。

ソジュン | Kittoのみなさん、こんにちは。SURGERYというブランドの運営とデザインをしているキム・ソジュンと言います。

 

✦ まず、ブランドの紹介をお願いします。ブランドネームの由来も気になります!

ソジュン | SURGERYは「解体主義」をモチーフに元のモノから、そうではないモノを新しくつくるブランドです。そういったメッセージを込めた多様な姿や形をもつアイテムを展開しています。ブランドネームは手術(surgery)という英単語からとったものです。

ブランドを立ち上げる前、ヴィンテージ服をリメイクするのにハマっていたのですが、元の服から新しい服をつくる過程が「手術」にとても似ていると感じました。あと、僕の名前「ソジュンとも発音が似ていて、このブランドネームにしようと決めました。

SURGERY


 

✦ でしたら、そのように古着を新しくリメイクされていたのが今のブランドを立ち上げるきっかけになったのでしょうか?

ソジュン | 実は、もっと前から「ファッションブランドを立ち上げたい」という夢を持っていました。中学2年生の頃から自分のブランドを持ちたいと思うようになって、ずっとそれを志して生きていました。ファッション留学も準備して、日本の文化服装学院に来たかったんです。

ちょうどその時、たまたま古着屋さんでバイトをしていたのですが、たくさんの売れない服が捨てられていくのを見て、そのような服をまた着られるようにリメイクをするようになりました。そこからインスピレーションを受けて、今のブランドを立ち上げることになりました。

SURGERY

 

✦ 中学2年生の時なんて!どういうきっかけでそのような将来の夢を持たれるようになったのかも気になります。

ソジュン僕は元々、ファッションに興味がある人ではなかったです。初めてファッションに興味を持ったのは、修学旅行のために友達とショッピングに行った時です。その時、はじめてファッションの世界に触れて、ある種の衝撃を受けましたね。「こんな世界があるのか」と。元々、何かをつくるのが好きだったのですぐに「自分のブランドを創りたい」と思うようになりました。

 

✦ それでは、いつブランドを立ち上げられたのでしょうか?

ソジュン | 大学在学中にブランドを立ち上げました。軍隊を除隊してすぐに休学届けを出してブランド設立に専念しました。なのでまだ卒業できてなくて、僕もまだ大学生なんです(笑)。

 

✦ 「SURGERY」というブランドを通して、ソジュンさんが表現したいものは何ですか?

ソジュン社会風刺的で、皮肉的なメッセージをファッションを通して表現したいと思っています。

僕の両親が哲学科の教授なので、幼い時から自然と哲学に興味を持つようになりました。特に、人間の矛盾した姿が皮肉的だと思うようになりました。今回のコレクションも人間の「アイロニーさ」についてのメッセージを込めた作品ですし、法人名も「株式会社アイロニー」なんです。

SURGERY
✦ 先ほど、新しいコレクションのアウターを拝見しました。前と後でリバーシブルになっていて、人間の矛盾さを表現した作品だと伺いました。

ソジュン | そうなんです。表裏が違っていて、もしかしたらその表裏も実在しないかもしれない、そんなことをそのアウターを通して表現したかったです。アイテムの名前は、Back Forceなんですが、英語で行ったり来たりするのを「Back and Forth」って言うらしいです。また、空軍のことをAir Forceって言うじゃないですか?今回のコレクションはミリタリーなので、そこから名前をとってきて「Back Force」と名付けました。

SURGERY
✦ 面白い名前ですね!また、あばら骨が出ているダウンのアウターも人間の矛盾している姿、特に人種差別について表現したアイテムだと伺いましたが...

ソジュン | はい、そうです!人間は死んでしまったら結局骨になるだけなのに、肌の色であれこれ区別をつけて差別をするのが矛盾していると思いました。

 

✦ 人間の「アイロニーさ」に着目するようになったのはなぜですか?

ソジュン | 人間しか持たない「矛盾的」な部分が興味深く感じられました。

人間関係でつらい思いをする時、ほとんどは人間の矛盾した態度に傷つくことが多いと思います。でも、こんな人間の矛盾した姿は人間だけがもつ「美学」のように感じられました。矛盾した部分のせいで嫌な思いをすることもありますが、人間しか持たない要素という部分がとても面白かったです。僕は面白いことをするのが好きな人なんです。

あと、洋服は僕が面白く感じたこと、興味深く思ったことを表現する手段です。なので、興味を感じた「アイロニーさ」を洋服に込めるようになりました。

SURGERY
✦ ブランドのコンセプト「解体主義」についてももうちょっと詳しく説明させていただけますか。

ソジュン | ブランドを立ち上げてもう5年が経ちますが、自分のブランドを通してメッセージを伝えることを一途に目標にしてきました。既存のものをそうでないものに変えることがブランドの本質です。服を造る時、元々の服を一回壊して新しく作り直します。その元々のものを壊すのがとても面白いと感じています。それで、服を「手術」する過程が興味深く感じられて「解体主義」というコンセプトを掲げるようになりました。

SURGERY


今回のコレクションのコンセプトは「LAZY MILITARY」で、これも「アイロニーさ」と「解体主義」に基盤したものです。MILITARY、軍隊と聞くと従順で、力強くて、かしこまってなくちゃいけない感じがすると思っています。そのため、「だらけた」軍隊ってすごく相反したことだと思いました。実際、LAZYな軍隊もあると思いますし。それを解体主義を通して表現しました。

 

✦ なるほど!そして、次の質問になりますが、日本だけでなく、韓国も今ファッション業界は競争が激しく生き残るのが難しい市場と言われていますよね。そんな業界でブランドを立ち上げ、このように海外進出も遂げるまで、どんなリスクや困難があったのか気になります。

ソジュン | ブランドを単身で立ち上げてから、ずっと困難はありました。少ない資金で、小さいワンルームで服を製作し始めました。その中で詐欺にあったり、在庫が全然無くならなくて困ったこともあります。

 

✦ では、どのように克服されましたか? 

ソジュンとにかく物事を長いスパンで見て、つらい時間も耐えたら、きっとうまくいくはずというマインドを持つようにしました。今、耐えればこの辛い時間もブランドの長い歴史の一部になれるはずって思っていましたね。

僕は50年間このブランドを続けるのが目標で、ブランドが成功するためには長い歴史が必要だと思います。長い歴史を誇る日本のデザイナーとブランドが好きですし、有名なブランドは長い歴史があるブランドとそうでないブランドに分かれると思います。長い歴史を誇るブランドをつくることを目標に耐えればうまくいく!という思いで今までやってきました。



✦ 先ほど、日本のデザイナーや学校のことをおっしゃいましたが、日本への進出を決めたきっかけはありますか?

ソジュン | 日本のデザイナーと文化が好きなので、日本に進出することがずっと夢でした。もし、ファッションショーでデビューをするなら東京ファッションショーでしたいと思っているほどです。日本のファッションと文化に影響をたくさん受けてきたので、日本に来ることができてとても嬉しいです。

 

✦ 特に好きな日本のブランドやデザイナーはいますか?

ソジュン | COMME des GARÇONS、藤原ヒロシ、宮下貴裕、高橋盾が好きです。幼い時からずっと好きでアイテムも買ったりしました。

 

✦ ソジュンさんが感じる日本と韓国のファッションの違いはありますか?

ソジュン | 日本は、守り抜くということ。1つのスタイルやブランドをずっと守り続けることが日本のファッションの強みだと思います。そのため、日本のブランドのように長い間、ブランドを続けるのが僕の目標でもあります。韓国は素早くトレンドを取り入れることが長所だと思います。日本の長所も韓国の長所も自分のブランドに取り入れていきたい要素です。

 

✦ お仕事以外でも日本によく来られますか?お気に入りの場所はありますか?

ソジュン | お仕事では今回が2回目ですが、旅行ではたくさん来ました。東京でお気に入りの場所は秋葉原や池袋です。日本のアニメが大好きなのでオタ活をしに行きます!

 

✦ 最後の質問になります。今回の展示会を通して思ったこと、そして今後日本でしてみたいことをシェアしてください。

ソジュン | 前に、ショップの方に出店させていただいたり、MUSINSA JAPANのポップアップストアの方に出店したことはありますが、単独でのイベントは今回が初めてです。ずっと影響を受けてきた日本へ進出することができてとても嬉しいです。

今後は、3月に阪急百貨店や4月に大阪でポップアップストアを開催する予定です。機会があればファッションショーにも参加してみたいですね。これから、日本のお客様たちと積極的にコミュニケーションしていきたいと思っていますし、これからの日本での活動がとても楽しみです。

 

 

エディタ |Kitto アヒョン & よん 
ブランド|SURGERY

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