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『MRCH(マチ)』という愛らしい成長物語

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2024.08.12
Heather
HeatherKpop評論家と一緒にKpopインタビュー

明るくあたたかなエネルギーがスタジオいっぱいに広がった。小声で語り合う会話の中には笑いが絶えなかった。『MRCH(マチ)』は、独特な爽やかな歌声同様に、とても愛らしい人だった。最近、韓国のインディーズシーンで話題になり、その動向に関心が寄せられている。

彼女は、2024年、インディーズリスナーたちの間で、いま最も注目したいアーティストの1人として急浮上した。2019年のデビュー以降、いくつかの迷いの時期もあったものの、今は本当に自分が望んでいるものが何かをよく知っていて、それを実現している。そんなマチは、いつまでも音楽を通じて人々に自分の愛を伝えていきたいと抱負を語った。 

澄んだ声から優しい笑顔まで、日常の中に溶け込んでいる私たちの些細な感情まで引き出して、語って、魅了する彼女に、私たちはいつも「降伏」し、全力で彼女を応援せずにはいられない。

 

── こんにちは。まず、自己紹介をお願いします。
こんにちは。私は、シンガーソングライターのユン・マチ(MRCH)です。

── パークミュージックフェスティバル、サウンドベリーフェスティバルをはじめに、チューンアップと京畿インディスタンス、サンサンマダンのバンドディスカバリーに選出されるなど、シーンで多くの関心が寄せられ、ファンからも愛されているこの頃ですが..

私がアルバムを出したのは、19年度が初めてなんですが、私がシンガーソングライターとしてアイデンティティができあがったのは、去年からだと思います。これで、どこかで職業欄に堂々と「シンガーソングライター」と書けるようになったというか、その前までは「学生」って書いてたんですよね。

 

── 最近、ファンが急増していると実感していますか?感想はいかがでしょう。

あれこれとやることが増えている状況なので、事実上実感は全然できていなかったですね。でも、少しずつ公演後に残って私のことを待ってくれているファンの数が増えているのを見て、その時初めて少しは実感した気がします。

それ以外には、私が独立して活動しているので、もし逃していることはないか、返信してないものはないか、期間は十分か、こういった管理が慣れてないからか、とても忙しい毎日を過ごしています。最近、ナリ(マチの愛犬)と遊んであげられてないので申し訳ない気持ちです。

── 2019年デビュー以降、最も活発に活動している最近だと思いますが、シーンではこのように女性ソロロックアーティストが注目を浴びることがとても嬉しいし、応援したい気持ちになります。これまでマチは、若者が共感できるテーマの曲をたくさん歌ってきたと思いますが、自身の音楽をどのように定義しますか?

私は、人に関する音楽を作りつづけたいです。今答えているこのインタビューも、人と人が相互作用をして誕生するわけじゃないですか?音楽というのも結局は人が行っているものですし。実は、昔は社会と人という関係を難しく考えていたんです。

でも、最近はとてもシンプルなことなんじゃないかと。結局私たちはみんな幸せになろうとしていることなわけで、ただ全ての物事が人という一つのキーワードに帰着すんだと思います。

昔は、私自身が若かったので青春についての曲をたくさん作りました。まるで就活生みたいな感じといいますか。私の歌を聴いてくれる人も多くなかったので、就活生のようなものでした。

最近は、新入社員といったところですかね。もう少し広く、音楽に境界線なく、色々なテーマで作っていきたくて、人について話す音楽を作っているんだど思います。私も歳をとって、青春もいつかなくなってしまうと思いますが、その時その時、その年齢に合った、私という人に合った歌を歌いたいです。

 

── 他のインタビューで、もう少しロッカーになりたいという話をされていました。色々なジャンルのうちロックジャンルを選んだ理由は何でしょうか。

中学・高校の時にバンド部をしていたのですが、その時の思い出が大きく残っていて、ずっと本能的にバンドが好きだったんだと思います。 私はソロアーティストですが、一緒にセッションする友達と演奏する時にもっと大きな力を感じます。 漠然とロックバンドがかっこよくて憧れていたというのもあると思います。 なので、ずっとバンドをやりたかったのですが、ちょうどバンドブームがやってきました。

私はもともとフルバンドで公演するのが好きなのですが、紫雨林のキム・ユンア先輩がとても好きで、かっこいいと思うし、私の追求するスタイルがそのようなバンドスタイルです。

ずっとバンドをやりたかったのですが、それまではフルバンドを組むことに経済的な負担を感じて進められませんでした。 しかし、最近そのような部分が解決できて、バンドができることが今の私にとって一番大きな幸せポイントでもあります。

 

── 延高TV、君の声が見える、ボーカルプレイなどに出演したり、TWICEの作曲家として活動する延世大の学生としても注目されました。 このように誰よりも激しく長い時間を過ごす中で、各番組に出演したきっかけと、これらの活動がマチを歌手にする上でどのような動機付けになったのか知りたいです。

正直、それまでは自分が何をすべきかについて悩んでいて、混乱していました。 小学校の頃から音楽が好きで、歌うのが好きだったのですが、その好きな気持ちは、一人でカラオケで歌を歌うとか、そういう趣味のようなものでは解消されないんです。 そして、大学ではクラシックを専攻していたのですが、これも音楽を専攻していても、次に何をすべきかについて悩みが生じました。

歌も歌ってみたいし、ダンスも踊ってみたいし、やってみたいことがたくさんあって、少女時代やワンダーガールズの先輩たちを見て育ったせいか、当時はとにかく所属する会社がないといけないと思い、会社に入ったりもしました。 本当に何をすべきか何もわからずに迷った時期だったと思います。 

そうやってあれこれ迷いながら、結局会社を辞めることになったんです。 それで、一人でやってみたいことをやってみようと思うようになりました。 当時は、その迷った時間がもったいなくて、あの時、しっかりして何かをやっていたら、今もっと違う25歳になっていたかもしれないと思ったりもしました。

でも、今は今の私だから、20代後半の大人になった私だから、今の私の音楽ができるんだなと思います。 今の私だから、こういうインタビューに答えられるし、私でよかったなと思います。

── 彷徨いの時期、学生時代のマチはK-POPの作曲家でしたね。 その時に書いた曲は、今のマチの曲とは大きく異なります。 他のアーティストの曲を作る時と自分の曲を作る時、特に目立つ違いはありますか?

TWICEさんの楽曲を制作するときは、ダンスのことを意識しました。 私はアイドル独自のコンテンツやチッケムを見るのが好きなので、そのようなコンテンツをたくさん見ていたせいか、曲を作るときに、この部分にはこのメンバーが出たらいいな、この部分にはこのメンバーがこうしたらいいな、と直感的に想像しました。 若いころはガールズグループもやってみたかったので、自分自身もそのグループに取り憑かれて、本気で曲を作ったと思います。 

私は性格上、一定の基準に合わせながら作業するタイプなので、音楽的にも人の評価に自分を合わせようとしたり、気を使うことが悩みの種でした。 自分の色をしっかり持っておくことが本当に大事なのですが、当時はK-POPの作曲家としての私と「マチ」としての私との分離がうまくいかなかったんです。自我が混ざっていたせいか、ある時は私の曲もアイドルの歌のように書いていました。 誰が聞いても踊りたくなるような曲を作ったことも。そんな試行錯誤をたくさん経験したと思います。 おかげで今は幸いにも分離できて、私の曲を書くことができるようになったと思います。

── そうですね、今はマチの音楽を聴くと、「マチの音楽」という感じがします。 特に最近リリースされた曲は特にそうですよね。

そういうお言葉をいただくたびに、とてもうれしいです。

── マチといえば、爽やかで元気な歌声を語らずにはいられません。 3年前にアップしたColdplayのViva la vidaのときも、あの元気でパワフルな声と優れたボーカル力が曲ととてもよく合っていて、大好評だったかと思います。 自身の歌声の長所と、曲ごとにボーカル演出をどのように気をつけているのか知りたいです。

私は自分の声を客観的に見るのが難しく、声質が良いと言われるたびに、どのようなポイントなのかじっくり考えてみるんです。 実際、私は曲によって声をあれこれデザインして歌ったり、感情を演じたりするようにしています。 音色を考えるよりも、曲に合わせた声のスタイルを作ることがもっと楽しいです。 

でも、曲の中で訴求力の強い音楽を聴くとき、自分の声に限界を感じたことはたくさんあります。個人的にseoriさんの歌声が好きで、私と全く違う歌声の方を見ると、うらやましく思ったりもしました。 でも今は、自分の声という素材をどう美味しく料理するかを考えるようになりました。 

今は、私の元気なエネルギーが私の本質であり、大きな長所だと思います。 だから、これを最大限に活かす方法を考えています。 自分の声を、自分の歌を何度も何度も聞いて、セルフフィードバックをたくさんしています。 自分自身について探求し続けるんです。

── マチの声は確かな長所があります。 マチならではのすっきりとしたきれいな声は、他のアーティストとは違う、マチだけの道を歩んでいると思います。

そうですね、まったく違う路線の声を持つ人たちの歌を聴くと、より健康に応援できるようになった気がします。 違うけど、とても好きなので。

── マチは様々な愛を音楽で歌っていると思うのですが、ただ一般的な男女間の愛ではなく、様々な形の、様々な大きさの愛を歌っていますが、マチが歌を通して伝えたい愛とはどんな話ですか?

私は生まれつき人と動物が好きで、MBTIもENFPしか出ないので、もちろんMBTIで全ての人を定義するのは正しくないかもしれないけど。私は共感性も高く、感情移入が激しいので、人がちょっと優しくしてくれるだけでも、それが愛だと思うんです。 今日、私をサポートしに来てくれた友達も、インタビューしてくれて撮影してくれたKittoのみなさんにも、本当にありがとうございました!という気持ちです。

なので、むしろ私は、男女の愛についての歌は書かないと思うんです。 私にとっては、人と人とのやりとり、つまり全世界が愛ですから。 私が人を愛し、愛犬を愛しすぎているように、この気持ちが曲にたくさん伝わればいいなと思います。 それが私が愛を歌にする理由だと思います。

 

── マチさんは本当に心が澄んだ、温かみのある方だと思います。 残念ながらインタビューも終盤を迎えています。今日、Kittoのために用意した曲「Surrender(*항복)」は、マチの楽曲のうち最も有名な曲でもあり、多くのファンに愛されている曲だと思います。 この曲について紹介してください。
*항복 = 降伏という意味の韓国語、ハンボ

さっきの質問とは逆の話をしてるみたいで、ちょっと恥ずかしいんですけど、「Surrender(항복)」は、朝起きるのが嫌で、歯磨きも嫌で、何もしたくない日に書いた曲なんです。 そんな時は、こんな自分に負けた〜!と思いつつも、いやいや、こういうものと戦って勝たなきゃって思うんです。 

目覚ましと戦って、食欲と戦って、やるべきことと戦って。 これは、私なりの怒りの思いで書いた曲なんですけど、その怒りをそのままにしないようにしました。 だから、今はこの曲を笑って楽しく歌えるようになったんです。

── 怒りというのは、ものすごく沸き立つ怒りというよりは、日常生活で誰もが感じる無力感、誰もが感じるどうしようもなさみたいなものですよね?

そうです!私だけじゃないって共感してもらいたかったんです。 そして、この曲を書いてから周りを見渡すと、みんなそうなんだなって思えたのが良かったですね。

時々、やるべきことをやらなかったときに、一人で無駄に罪悪感に悩まされることがあるじゃないですか。 他の人はみんなすごく素敵に生きてるのに、私だけこんなにいい加減に生きてるんだろうなっていう罪悪感。でも幸いにも、みんな似たようなものだと気づかせてくれた曲でもあります。

── 曲名だけ見ると「降伏」なので、何か悲壮な感じの曲を想像していましたが、曲を聴いてみると、毎日毎日私も些細なことに降伏していることに気づき、共感した曲だと思います。もう一曲のTWICE「Celebrate」を選曲した理由は何ですか? また、この曲を作りながら面白かったエピソードはありますか?

日本といえばTWICEなので、私が書いたこの曲を選ばずにいられませんでした。 TWICEは私が初めて本格的に作曲をするようになったアイドルで、Celebrateは私が初めて手がけた曲でもあります。 私がこの曲のサビのメロディーを書いたんです。

この時、本当に最初から最後まで一発で曲が出来上がってきたので、楽しみでもあり、不安でもありましたが、勇気を出して「この部分はこのメロディーにしたい」と強くアピールして、採用されたのを覚えています。 

── 今年も半分が過ぎましたね。 マチの下半期の計画を教えてください。

私自身の過渡期は少し過ぎたと思います。 でも、自分自身に少し厳しい方なので、まだ自分の音楽的な色を確立するためには、もっと自分らしい曲を作って歌わないといけないと思います。 最近、公演も多くなって忙しくなり、曲作りが疎かになることもありますが、ここで疎かになったら本質を失ってしまいますよね。 だから、もっと深く考えて、下半期は良い曲を書かなければならないと思います。

私は「Surrender(항복)」という曲がすごく好きなのですが、下半期はもっと良い、もっと好きな曲を作りたいというのが私の計画です。

── 楽しみにしています!Kitto恒例の質問です。 マチがアーティストとしていつかきっと(Kitto)叶えたいものは何ですか?

良い人たちに囲まれていられたら過ごし続けられたらと思います。 一生、素敵な仲間と楽しく働きたいです。 いや、仕事と感じさせないようにもっと楽しくしたいのですが、私の欲張りでしょうか。

実際、今一緒に働いている仲間とは、そこまで「仕事」という感じはしていないので、とても気に入っています。 だから、みんなが結婚して子どもを産み、孫を産むまでずっと一緒にいてほしいです。 遊びながら仕事をするのはみんなの夢ですよね。 私もそれを夢としています。

── マチさんは、とても温かくて素敵な方だと思います。 最後に、ファンに伝えたいこと、あいさつをお願いします!

最近とても暑いので、会場に早く来て長時間待ちすぎないでね。これからもっと頻繁にステージに立つように頑張りますので、元気な姿で、頻繁に会えたら嬉しいです。

 


 
Interview : Hyelim Jo
Photographer : Wang Seung Hyeon
Kitto : Mori Chihiro, Sunwoo Jungsoo

 

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